アスペとゲームと君と僕

アスペの息子とゲーム好きな僕との備忘録。

告解のようなもの3

分からないっていうよりも、自分(家内も含め)と行動基準が違うような感じです。

今課題をしないと明日には今日の分まで積み重なってやることが増える。
そうやって先延ばしにすると、そのうち少ない時間では出来なくなる。それではダメでしょう?
という事が、わかってるのかどうか・・・。

「やらなきゃいけない事は分かってるんだけど、出来ない」

こういう答えが殆どでした。

「どうして?例えばずるい話だけど、答えが書いてあるんだから写したっていいじゃない(まぁ酷いリードですけどw)?兎に角、終わらせないと溜まるんだよ?やることが消えちゃうわけじゃないから、いつかは必ずやらなきゃいけないんだよ?」
そう言い聞かせ、やり始めても長続きしない。

康ちゃんは、そんな手引き(答えを写すというちょっとズルいやりかた)は全くしない子です。答案も、自分が気に入った文字の大きさや「ハネ、ハライ、テン」が書けていないと消しゴムをガンガンつかって書き直し、そうしているうちに疲れてしまうタイプ。問題も、上から順にやっていくのですが、難しい問題があるとそこで分からないと止まってしまい、先に進みません。

「さっと問題を観て、簡単そうなものから答えればいいじゃない」

それを、しない子。
それはそれでポリシーがあるのでしょう。
しかし、理由は頑として言わない。というより理由なんてないのかもしれません。

考査の答案が返ってくると、最後の方にある問題を見て「あ、この問題は分かったんだよな・・・」とつぶやいたり。
要領が悪いのか、そういうことが全部彼には、「ずるい事=悪い事」に映っているようで、けれど、途中を飛ばして簡単な問題から解くのは、別に悪い事じゃないよ、答えれる問題が残ったまま回答返すのって、もったいないでしょ。と諭すも、それが「できない・・」と。

携帯に没頭、DSやWiiに没頭。TVやDVDも観たい。とにかくやりたいことを我慢して勉強(ほとんどは学校から出された毎日の課題を消化する事)は苦手。というかそういう行動をとることが苦手?

世の中には、確かに切羽詰まらないとできない子もいます。

沢山課題をため込んで、ある日堰を切ったように昼夜突貫してやってしまうという子もいますよね。親に頼み込んで、一緒に終わらせるの手伝ってと懇願する子もいると思います。
僕らは、それ(懇願して手伝ってもらうこと)は予め「絶対だめ」と言い聞かせてました。手伝うのは、例えば「調べものしたいからPC貸して」とか「資料を印刷したいから、このデータを印刷して」とか。それ以外自分で何とかしなきゃいけない事は「自分の事だから、自分でやりなさい」を連呼していました。

結局、この一連の僕たちの言葉は、彼にとってとてつもない「大きな壁」になるだけだったのです。

つまり、親に甘えることを遮る壁。泣き言を遮る壁。
自分を理解してくれる一番の両親が作った大きな「自分を理解してもらえる安心感を得るために立ちはだかる厚くて高い壁」になってしまったのです。

中学時代に、運よく1年から3年までをある意味康ちゃんをサポートしてくれる大好きな友達がいました。その子は、康ちゃんの話に付き合い、自分が寝てしまって写せなかった黒板の板写ノートを貸してくれたり、聞いていなかった時にプリントされたものを説明してくれたり。文字通り康ちゃんにとって、無くてはならない相棒でした。

それらは僕から見て、友達に甘えることに他ならないと感じたのですが、きっと当の康ちゃんにとって、すがるほかなかったのでしょう。

それもそのはず・・・。
中学校の3年間は、家では昼夜逆転の生活でした。
朝は眠くて起きられなくて、待ち合わせの時間(小学校から仲良く同伴していた友人と)一緒に行けなくなり、学校の授業中は、寝てしまう。
家に帰ると夕食の時間まで一眠りして、ご飯後に少し机に(この頃は学習机は物置と化し、勉強テーブルが机替わりですが)向かうと、暫くしてゴロンと横になってしまい、そのまま睡眠。お風呂もそこそこに、両親が寝静まるとTVの部屋まで移動して、YouTubeやゲーム、携帯を触って明け方4~5時に寝る・・。

何度かこのリズムから抜け出して欲しくて、叱咤激励を続けましたが、2年の夏休みぐらいから、僕も家内も諦めてしまい、そこからは「なるようになれ・・」と放任に近い形に。

兎に角、叱ると無口になり部屋に閉じこもる。
食事の時も無口で大したことも話さない。うつむき、上目遣いに両親を見て、何かを警戒する態度。学校でのことなどはやっぱり殆ど口にしない。
3ヶ月に1度の学校訪問などでは、僕らが先生に呼び止められ生活習慣を改める様に指導を受けるような感じでした。

多分、僕たち夫婦も康ちゃんとの距離を本当に縮めようとしていたのか、この子はもうこういう子だから、どうしようもないや・・と考えて文字通り心の中まで捨ててしまったのかもしれません。

それほどまでに、言う事を聞かない子。
兎に角、アドバイス通りに行動しない子でした。
とーちゃんやかーちゃんが言う事の十分の1も聞かず(文字通りしかりつけた言葉も聞いてないぐらい)親がいう事すら忘れる子でした。

「この前話したでしょ?」

「なんだっけ?」

という調子です。

僕らは、子供の未来も考えて、このままじゃ大変なことになる。例えば昼夜逆転した生活に慣れてしまったら、社会に出て苦労するのはこの子・・。その思いが頭をよぎるばかりで、ある時はなだめ、ある時は話し合いながらも兎に角、生活のリズムを作る事を諭しました。

この話し合いや苦労してきた叱咤激励の日々は、今となっては、全く康ちゃんにとって逆効果どころか、ますます不安と自分の殻に閉じこもるように仕向けていたんだな・・と感じるばかりです。