アスペとゲームと君と僕

アスペの息子とゲーム好きな僕との備忘録。

思いがけない事2

進学が決まり春休みを経て、康ちゃんは、自宅からそう遠くないけどちょっと自転車で頑張らなきゃいけない高校へ。

入学式は、夫婦そろって参加。

在校生の皆さんと共に式を終え、新しい一年の始まりだなぁ、康ちゃんやったなぁ。

 

僕が高校へ進学したのはかれこれ40年近く前。思い出す事と言えば入学試験の結果を一人で観に行き、高校受験が合格したことを祖父に電話した事。

 

康ちゃんは、確かに昼夜逆転生活をしていたけれど中学を経て高校へ行きたいという思いを持ち、結果的に希望していた高校へ行けたのだから「君は勝ち」と僕は話していました。
どんなことが今まであったとしても、自分の目的は達成したのだから・・・と。
ちょっと極端ですけど、そんな風に食卓でも話していたのですけど、それからわずか1ヶ月後に、思わぬ事件が起きました。

 

進学した学校は、入学後にわかったのですが、少し女子が多いクラスです。それが災いしたような事件でした。思春期にありがちなちょっとした勘違いで起きた事ですが、少し暴力沙汰にもなりかけたために学校側との話し合いで、1週間ほど謹慎ということで家でおとなしくする日々を康ちゃんは過ごすことになりました。

過去に色んな事があって、この謹慎中にも色々思い出すこともあるのかな・・と気にしつつ、この事件後に高校生活カウンセリングに(初めて医療的な視点で康ちゃんの事を話す機会として)行きました。

 

幼いころ、特に2歳児までの行動を思い出しながら話したり、今の状況も説明しつつ僕の思いも伝えました。

 

僕は、小学校の頃から「なんか反応というか、返す言葉がちょっと普通じゃないんじゃない?」と感じる事もあったので、それも伝えたりもしましたが、幼少時の行動を一通り伝えたところ、カウンセラーの回答としては「自閉症の傾向がありますね」という、僕たちにはやや衝撃的な言葉を頂きました。

 

なぜ、衝撃的だったのか。

 

普通の人と違う(そもそも普通の人って何?)という事実を突きつけられたからじゃありません。

 

もし、康ちゃんが独特の特徴をもっているなら、僕は、その事実をちゃんと受け止めたかったのです。ちゃんと受け止めて、わかってあげたうえで、父親として成長を見守りたかった。

そんな奇異な特徴を持つ子供なんだと早く知りたかった。
しかし、その努力もしていなくて、思い込みで康ちゃんを傷つけていたのかもしれない。そんな念で自分を責めました。まさに後悔しかありませんでした。

それまで自分がしてきたシーンが脳を横切ります。

せっかんとして叩いたこともありました。決して自分の行動を肯定したい訳じゃないけれど、それが正しい事と信じていた時期もありました。

僕は、古い考えなのか、しつけの為の痛みを伴う教育には反対しない立場です。痛みはお互いに感じるもの。心も痛いし叩いた手も痛いです。

けれど、そんな表現、康ちゃんには実は通じなかった。

叩いた手は痛いけど、心も痛いんだ。
とは、つまり、心の状態がどうなっているのか、自閉症の康ちゃんには分からないのです。恐らく、通じていなかったに違いありません。言ってる事が分からない。でもとーちゃんは怒ってるから、悪い事を自分はしたんだという認識はある。けれどもその為にどうすればいいのか、どうやって叱られないようにすればいいのか、多分分からなかったんだと思います。だから、繰り返してしまう。

叱られたくない、でも、楽しい事だから始めてしまう。
理性よりも強い本能に気持ちが傾き、そちらに行ってしまう。

自閉症を持った子は、本来僕たちが持っている「行動を司る、コントローラー」が働きにくい子やコントローラーそのものが未熟のまま大きくなってしまう子がいると、カウンセラーから聞きました。


ひとまず、康ちゃんへの理解を深めることが大事。

 

事件後数日して、やや落ち着いた康ちゃんだったのですが、その4ヶ月後、夏休みを経てこの9月末に、またもや事件を起こしてしまうのでした。

 

その3へつづく。