アスペとゲームと君と僕

アスペの息子とゲーム好きな僕との備忘録。

告解のようなもの2

小学校へ入り、集団行動をするようになって最初の違和感を覚えたに違いないと思います。僕たち夫婦は普通に考えていたのですが、康ちゃんにとって小学校は、きっと異世界だったのでしょう。

大体の子供たちが先生の言いつけを守りノートなどを自主的にとり、その場の環境になじもうとするのでしょうけれど、康ちゃんはそれがとても難しそうでした。

学校から呼び出されることは有りませんでしたが、面談の際は1年生の担任からは中々の御言葉を頂き、夫婦でうなだれることも。

 

2年生になって担任が変わり、キチっとしたがる先生ではなく児童の行動を観察する考えの方で、この頃か、1年生の頃だかいまだにわからないのですが、気に入らない事があると、康ちゃんは授業を抜け出してグラウンドで座ってたり時間つぶしをしていたようです。

そうやって自分を納得させていたのかもしれません。

学校の先生方には結構これが有名な出来事になっているらしかったのですが、2年生では、それを責められることもなく、自由にさせてもらっていたようで、そんな具合で低学年は徐々に学校になじんだようでした。

3・4年生になり色んな発表会も一生懸命ついていって頑張っているようでした。

しかし5年生になるころ、同居していた両親から衝撃的な言葉を聴くことになります。

 

「僕って、死んだ方が良いのかな」

 

小学校の康ちゃんから、直接聞いた事がない僕たちはびっくりしました。

そもそも、康ちゃんは学校での出来事を殆ど言わない子です。
今日何があったよ、だれだれ君とこんな話をした、学校の先生が面白かった、なんて会話は殆ど皆無です。
僕たちが「今日学校どうだった?」と聞いても「忘れた」という返事か「覚えてない」という返事が多く、僕はこの頃から何か違和感を感じつつ、結局どのような教育機関へも医療機関へも行くことなく過ぎていきました。

先のことばは、母が聴いて抱きしめて慰めたと聞いたのは、5年生の1/2卒業式前後のことです。
10歳になり、その頃の小学校では二十歳の半分の年齢を過ぎた事をお祝いする行事を全校(5年生全クラス)で展開していました。4年・5年の先生はとても楽しい先生で、康ちゃんも好きになった先生でした。
この先生は冗談が好きで、脱線もするがキチっとしたことは諭す。いわゆる飴と鞭の使い方も上手く児童にも人気(家内もお気に入りw)の先生でした。発表会ではダンスや替え歌等で盛り上げて頂き、そんなクラスの行事が、康ちゃんにも楽しそうに思えました。

6年生、運動会、クラス発表、そして卒業式。

「死んだ方が」なんて言っていた康ちゃんがまるで生まれ変わったように明るく、楽しそうな学校生活をしているようでした。

しかし相変わらず学校の事はあまり話さず、宿題を片付けるのは遅め。でも土日のリクレーションのために毎日何とか頑張って過ごしてきました。
この頃の康ちゃんは、学校で出された宿題は、たいてい週末までため込んでしまうタイプ。夏休みや冬休みの課題は、その翌学期になってやっと手が付けられて2か月後になんとか片付くくらいののんびり屋。のんびりなのか、それ以上できないのか、当時の僕らには分かりませんでした。

 

「宿題やってなきゃダメ。日曜遊びたかったら土曜までに頑張ってやる」

「決して勉強が出来てほしいなんて思っていない。せめて宿題ぐらいはちゃんとやって欲しい」

が僕らの口癖のようになっていました。

どうして宿題をしないのか、宿題を忘れるとどうなるのか、先生に叱られる?とーちゃん(僕)に叱られる?やってあると喜んでくれ、遊んでくれる。この方程式で分かってくれると思い、ある時は手を出したり厳しく当たってきたように思います。

しかし、当時の僕たちから見た、康ちゃんに対する見立ては、兎に角、失敗から学ばない。
どれだけ言っても、わかってるのかすら分からない。
行動の基準となるものが何か分からない。

叱られたくないなら、やればいいのにやらない。

遊んであげると、そのままになって、宿題をやらなくなる。

僕は、康ちゃんのこんな行動を、遊びたいから兎に角ごまかして、先延ばしにし、最後はやれなくなって諦めるというちょっとずる賢い子の行動とみていました。

二言目には「頑張ればちゃんとやれるのに、どうしてできない(やらない)の?」を連発していたと思います。

すると決まって「集中できないもん。TVが気になるし、ゲームもやりたい」という回答。

「やるなって言ってないよ。学校から帰ってから1時間でもやって終わらせたらゲームすればいいじゃない、先にゲームするの、どうして我慢できないの?」

我が家には、IT機器がいっぱいあります。僕の趣味がPCやゲームだったので、沢山あります。4年生から携帯を触る事を覚え、外食やショッピングに行くと「携帯かして」と妻にねだり、一度貸すと家に戻っても手放しません。

我が家の携帯ルールも決めて、本人もサインしたお約束状もありますが、全く効果が無く、指さして叱る事も減りませんでした。

取り上げると拗ねて自室に閉じこもるばかり。

 

そんなこんなでしたが、中学に上がって徐々に「なんで?」という疑問符というか、康ちゃんの行動がさっぱり分からなくなるのでした。

 

3に続きます。